とりこぎん

こぎん刺しを楽しむブログです

こぎん刺しと時間

こぎん刺しを刺していると時間があっという間に過ぎている。人によって刺すスピードは違うだろうけど、それなりのサイズのものを総刺ししようと思えば、それなりの時間がかかる。これから迎える老後の趣味としては、なかなかよいのではないかな?なんて思っている。布と糸と針さえあればできるし。材料費と出来上がるまでの時間を考えたらコスパもいい気がする。

しかし、これは逆の見方をすると、こぎん刺しはタイパが悪いともいえるのだろうか。タイパ(時間対効果)って感覚が、昭和な私にはあんまりしっくりときていないので、使い方が間違っていたら的外れでごめんなさい。言いたいことは、こぎん刺しのような手仕事は、単純に効率という視点で見たら非効率的な分野ではないかと。まず、こぎん刺しが生まれた時代と現代とでは時間の流れがあまりに違ってしまっている。人の手でひと針ひと針刺すしかなかったものを、いろいろと便利になった現代の価値観で、あえて手間暇かける?みたいな。いやいや、あえて時間をかけて楽しんでいるのだけれど。

防寒や補強のため、必要に迫られて作られたものを、その必要性のない時代にやる意味があるのだろうか。実際、そういう流れで一度こぎん刺しは廃れかけてしまったらしい。それでも、なんとかこぎん刺しを残そうと尽力された方々がいて、今私たちもこぎん刺しを楽しむことができている。

機能性を突き詰めると美しくなるものがある。こぎん刺しもそのひとつなのだろう。いったん役目を終えたこぎん刺しを、時代の流れに埋もれさせてしまうのはあまりにもったいない。そう思う人が今もこぎん刺しをいろいろな形で世に出している。本来の役目を終えたこぎん刺しだからこそなのか。人それぞれで、いろいろな形に変化して。世の中に多種多様なこぎん刺しがあって迷ってしまうけれど。私もこぎん刺しのバトンをつなぐ、名もなき刺し手になれるようにがんばろう。

私が初めて出会ったこぎん刺し。

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