とりこぎん

こぎん刺しを楽しむブログです

こぎん刺しの図案7

こぎん刺しは、基本的に奇数で目を拾って刺していく。基本的にというのは、図案の途中で偶数目になるところがある「もどこ」もあるので、全て奇数で拾っていけばいいわけでもない。中にはほぼ偶数の「もどこ」もあったりする。偶数が連続してくるものは、すぐ慣れて刺しやすいのだけど。奇数と偶数が混ざっているものは、やや刺しにくくてちょっと苦手。例えば「梅の花」という「もどこ」。

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かわいくて人気のある「もどこ」なのだけど、苦手であまり使ったことがなかった。今回、久しぶりに刺してみたが、やはり針の進み具合は微妙…。並べ方も正解がよくわからないので、困った時の糸流れで囲んでなんとか形にしてみた。囲んでみて、やっと目立てのイメージができた気がする。使ってみないと使えるようにならない、やはりその通りでした。食わず嫌いしててはもったいないのかな、そんなことを教えてもらった「梅の花」。こぎんタイルチャレンジでは、色合わせだけでなく、いろいろ挑戦していきたい!なにしろ60パターンあるから、アイデアも捻り出さねばー。

こぎん刺しと脳トレ

こぎん刺しの図案を考える時は、使う「もどこ」の目数を元に、あれこれと組み立てていく。中心から外側へ広げて考えていくので、大きな図案になるほどミスも生まれやすい。暗号のような数字をメモしながら、電卓をたたいて(暗算が苦手…)と。なかなか、いい脳トレになっているなぁ、こぎん刺し。間違いに気づくのはそこそこ刺してからのことが多いので、できるだけ慎重に計算してから刺しているけど、それでも間違う時は間違う。

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この写真では分かりにくいが、これも間違っていることに最後の最後で気がついた。色を変えるところで数え間違えたので、図案のミスというよりは、刺し始めの場所を間違えたのがそもそもだったのだけれど。真ん中のオレンジの部分は、目数がちょっと余っていた部分で、埋めようとしたらなんか違和感が。青と白のところはちゃんと計算していたし、少し余った部分はなんとかなるでしょ、と見切り発車したらこういうことになってしまったー。そこも最初からきちんと計算していれば、色を変えた時に間違いに気がついたかもしれないのに…。なぜいけると思ってしまったのか。仕事から離れて数年。こういう感覚が鈍ってきているのを実感。年齢の影響と言ってしまえばそれまでかもしれないけど。自分が思っているよりも慎重に事を進める癖をつけておいた方が何事にもいいのかも、なんて。こぎん刺しを刺すことで、適度に脳へ刺激をしていかねばな…。

ちょっとイレギュラーな事をする場合、今回のように色を変えて作る時なんかは特に、より気をつけなければいけないという、よい教訓になったこぎんタイルでした。

 

こぎん刺しの図案6

こぎんタイルの図案は基本的に総刺し。同じ「もどこ」を並べたり、組み合わせてみたり。これは「田の畔」という同じ「もどこ」を並べただけのシンプルな図案。

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「もどこ」は同じ大きさなので、1目あけて均等に同じ模様が繰り返される。これだけでかわいくなるのが総刺しの魅力のひとつかも。

さて、次はズームして「もどこ」の中に注目。この「田の畔」は45目。分解?してみると、

 ①5目の「かちゃらず」を

 ②3目の枠で囲む

 ③3目あけて②を3個並べて

 ④3目の枠で結んで囲む

と、こんな感じ。

キーワードは、「囲む」、「並ぶ」、「結ぶ」。

「囲む」は、分かりやすくて、基本的に1目あけて3目の枠で囲むので、囲まれる「もどこ」に8目足すことになる。今回は5目の「かちゃらず」で5+8=13目になったのが②。13目が3個と3目あけるのが2ヶ所で13×3+3×2=45目が③。「並ぶ」場合は、あける場所の数が植木算になるのがポイント。そして問題の「結ぶ」。45目を3目の枠で囲むと45+8=53が④になるはずなのだけど。「結ぶ」場合は囲まれる外側の3目と囲む3目をがっちゃんこするので④は45目になる。

こぎん刺しを始めた時に、この「結ぶ」感覚が私にはちょっと難しく感じてしまった。なんでだろう。今でも目立ての計算の時に間違いやすいナンバーワン😓それでも、「結ぶ」図案の幅がぐっと広がるので使いこなしたい技なのだー!

 

 

こぎん刺しと時間

こぎん刺しを刺していると時間があっという間に過ぎている。人によって刺すスピードは違うだろうけど、それなりのサイズのものを総刺ししようと思えば、それなりの時間がかかる。これから迎える老後の趣味としては、なかなかよいのではないかな?なんて思っている。布と糸と針さえあればできるし。材料費と出来上がるまでの時間を考えたらコスパもいい気がする。

しかし、これは逆の見方をすると、こぎん刺しはタイパが悪いともいえるのだろうか。タイパ(時間対効果)って感覚が、昭和な私にはあんまりしっくりときていないので、使い方が間違っていたら的外れでごめんなさい。言いたいことは、こぎん刺しのような手仕事は、単純に効率という視点で見たら非効率的な分野ではないかと。まず、こぎん刺しが生まれた時代と現代とでは時間の流れがあまりに違ってしまっている。人の手でひと針ひと針刺すしかなかったものを、いろいろと便利になった現代の価値観で、あえて手間暇かける?みたいな。いやいや、あえて時間をかけて楽しんでいるのだけれど。

防寒や補強のため、必要に迫られて作られたものを、その必要性のない時代にやる意味があるのだろうか。実際、そういう流れで一度こぎん刺しは廃れかけてしまったらしい。それでも、なんとかこぎん刺しを残そうと尽力された方々がいて、今私たちもこぎん刺しを楽しむことができている。

機能性を突き詰めると美しくなるものがある。こぎん刺しもそのひとつなのだろう。いったん役目を終えたこぎん刺しを、時代の流れに埋もれさせてしまうのはあまりにもったいない。そう思う人が今もこぎん刺しをいろいろな形で世に出している。本来の役目を終えたこぎん刺しだからこそなのか。人それぞれで、いろいろな形に変化して。世の中に多種多様なこぎん刺しがあって迷ってしまうけれど。私もこぎん刺しのバトンをつなぐ、名もなき刺し手になれるようにがんばろう。

私が初めて出会ったこぎん刺し。

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こぎん刺しの図案5

こぎんタイル用に刺している「うろこ」と「裏うろこ」の図案。こぎん刺しの「もどこ」には「かちゃらず」と「豆こ」のように、表裏で対になるようなものがある。この図案は、きれいに表裏で逆転するので、「うろこ」と「裏うろこ」を組み合わせると全く同じ模様が出来上がる。

表がこれで、

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裏がこれ。

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もちろん、「うろこ」だけでも、「裏うろこ」だけで刺してもいいのだけど。これが面白くて、つい「うろこ」はこの組み合わせで刺すことが多いかな。

こういう「もどこ」って最初からできたのか、それとも偶然で裏から見たらこれ使えない?ってなったものなのか。そんな想像しながら刺すのも楽しい。

こぎん刺しはある意味、単調な手作業の繰り返し。特にこういう図案は単純な方なので、刺しながらちょっと他のことを考えたりする時間もけっこう好き。図案にそれほど集中することもないので、手と頭が半々で動いている感じ。

ストレスが溜まっていた頃は、とにかく淡々と針を進めて心を無にする、なんてこともあったけれど。今は、せっかくこぎん刺しを刺すならば、なるべく楽しんでやりたいと思っている。穏やかな気持ちで布と向き合った方が、落ち着いた仕上がりになるのではないかなと(すぐブレるけど)。なにより刺し間違いが断然少ない!心の揺れは針に乗り移るに違いない…。

喜怒哀楽が針に出て、それがこぎん刺しの味になって。古作こぎんの存在感は、そういうところにもあるのかもしれない。こぎん刺しの刺し手の女性たちも、楽しくおしゃべりしながら刺したり、時にはちょっとイライラしながら針を進めて、気持ちを落ち着けたりしていたのかな。

こぎんタイル3

相変わらず、ちまちま刺し中。やっぱりこぎんタイルは楽しいな。10cm × 10cmの中でどう収めるか、色の変え方はどうするかとか。考えながらちまちま、ちくちく。でもそんなことをしていると、思いの外、時間がかかる。大きめなものでも同じ糸で一気に刺せる場合はサクサク針が進んだりするのにな。これは小さいものしか刺していなかった時には分からなかった気付き。毎回思うけど、こぎん刺しは手を動かして覚えていくものだなあ。

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今回、こぎんタイル60枚を作るぞー!と張り切っているところではあるが。なるべく図案も被らないようにしたいなんて、自分が考えているよりハードル高い目標設定しちゃったかな…。思っているよりも時間がかかる、思っているよりもすごくかかりそう。

こぎん刺しを作る手順として、

 ①何を作るか考える

 ②図案を考える

 ③材料を揃える

 ④刺す!

 ⑤仕立てる

(⑥発信する)

ここまででも私は結構パワーと時間を使う。ここからSNSで発信したり、販売までやっている、いわゆる作家さん。もう尊敬しかない。

まずは自分にできるところから、1枚1枚地道に。こぎんタイルを完走できるように頑張ろう。

こぎん刺しとサッカー

こぎん刺しとサッカー。パッと見、接点があるように思えないけれど、実はご縁があった。こぎん刺し発祥の津軽地方、弘前市ブランデュー弘前というサッカーチームがある。2023年シーズンは東北リーグ1部優勝。このブランデュー弘前のユニフォームには、こぎん刺しがデザインされている。地域と共に、という気持ちが込められているそう。そんなユニフォームが、地域の伝統を纏って戦う選手の力になっているのでしょう。また個人でも、青森県出身の柴崎岳選手(鹿島アントラーズ)がこぎん刺しをモチーフにしたスパイクでW杯に出場。さりげなく、こぎん刺しとサッカーの繋がりがありました。

サッカーを通じて地域の歴史や伝統を知る機会になるというのもおもしろいもの。開幕当初10チームから始まったJリーグも、今ではJ1、J2、J3、合わせて60クラブに。それぞれのクラブが地域の色を出してチーム運営をしている。サポーターが掲げる横断幕やチャントといった応援に地域の歴史や伝統が入れ込まれているものも多く、とても興味深い。気持ちが強すぎて、絶対に負けられない戦いがあちこちにあったりもして。他の地域の人にはわからない因縁とか⁇自分が推しているチーム以外でも、そういう面で見るとJリーグがもっと楽しめると思う。

ちなみに私の推しは、トリコロールのあのクラブ!

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私も勝手にこぎん刺しとサッカーのコラボ企画として、J60クラブのチームカラーでこぎんタイルを作っていこうと準備を始めたところ。気長にじっくりやっていきますよー。